水鏡 - 第27代 武烈天皇

 次の御門、武烈天皇と申しき。仁賢天皇の御子。御母、皇后春日大娘なり。仁賢天皇七年正月に東宮に立ち給ふ。御年六歳。戊寅の年十二月に、位に即き給ふ。御年十歳。世を知り給ふ事、八年。その程、人を殺すこと〔を〕朝夕のしわざとし給ふ。孕める人の腹を裂き割りて、その子を見給ひ、人の爪を抜きて芋を掘らせ、人を木に登せて落として殺し、ある時は、人を水に入れて矛にて刺し殺し、ある時は、女を裸になして板の上に据ゑて、馬のゆゝしきわざするを見せさせ給ふに、その方に心の入りたる女は板を潤ほすを、御門、これを憎みて、やがて殺し給ひき。さ無きをば召して宮仕へすべき由の仰せありき。かやうの、あさましく心憂き事多かりし御世なり。御年十八にて亡せ給ひにき。御子もおはせず。