水鏡 - 第13代 成務天皇

 次の御門、成務天皇と申しき。景行天皇の第四の御子。御母、皇后八坂入姫なり。景行天皇の御世五十一年辛酉八月壬子の日、東宮に立ち給ふ。辛未の年正月五日戊子、位に即き給ふ。御年四十九。世を保ち給ふ事六十一年なり。御容ことにすぐれ、御たけ一丈ぞおはしましゝ。武内、この御時三年と申ししにぞ、大臣になり給へりし。大臣と申すことはこれよりぞ始まれる。もとは棟梁の臣と申しき。これもたゞ大臣おなじことなり。官の名を変へ給へりしばかりなり。この御門、御子おはせざりしぞ口惜しくは侍りし。さて御甥の皇子ぞ位には即き給へりし。